「七五三」
 明日、日曜日は七五三です。
かつて江戸期の宣命暦の11月15日が祝い事に大吉日とされる鬼宿日(二十八宿)であったことからこの日に行われるようになったそうですが、現在は10月から11月にかけてのこの時期、各家庭の都合に合わせて行われるのが一般的です。

 年齢を祝う行事は古来からありましたが、現在の七五三の形式は関東の地方風俗に起源をみることができ、童歌の「通りゃんせ」にある天神様も川越の神社を指しています。

 女児は三歳になるとそれまでのおかっぱ頭から結髪をする「髪置きの祝い」、五歳の男児は将来立派な成長を遂げるよう吉方を向いて左足から右足の順で初めて袴(はかま)をはく「袴着の祝い」が元となっており、七歳の女子はそれまで使っていた付け紐から初めて帯を結び大人の装いをする「帯解(おびとき)」が七五三の原型と言われています。
それらの古来行事が、我が子の息災を祈る素朴な親心をあらわす行事として現在に受け継がれています。

 また、「七つ前は神の子」あるいは「七歳までは神のうち」といわれるように、七歳までは神仏の庇護の下にあり多少のことは大目に見られる代わりに、医療の発達していない昔はいつ死んでしまうかもしれない儚い存在でもありました。

 そのようなことから無事に七歳になったことを氏神に感謝し、これからの健やかな成長を祈って行われた「七つ子祝い」も七五三の背景としてあります。
この通過儀礼には、甘えが許された神の子から、それが許されない大人の仲間入りをするという区切りの意味もありました。

 そういった背景を考えますと、いつまでも甘えを許しているような風潮を見聞きする現代社会は随分と寛容な社会であるとも言えます。
最近は華美に過ぎ、虚栄の観がしないでもありませんが、本来は我が子の息災を祈る素朴な親心をあらわした行事です。
子どもが親の庇護の下にあるのは変わりませんが、この時期からしだいに対等の大人として
接してゆくことは、人格形成にも良い影響を与えるような気がします。