「黄色の効用」
 昨日もぐずついた陽気でしたが、道沿いには小学一年生と見られる児童のランドセルには黄色いカバーがかけられ、遠目からからでもそれと分かります。

 ところで、ゲーテは「ファウスト」や「若きウェルテルの悩み」などを残した文豪としての名が知られていますが、その活動は戯曲や文学のみにとどまらず、化学、科学、解剖学、地質学、哲学、政治家など広範囲に及び、”補色”を発見した色彩学者としての顔も持ちます。

 ゲーテは、ニュートンの物理的な色彩論に対抗し、生理的及び感覚的な作用から述べた「色彩論」を展開し、その中で光にもっとも近い色、すなわち色の中で最も明るい色であると規定したのが黄色です。

 純色の黄色は明度の高さだけでなく、彩度(鮮やかさ)も高く、目立つ色として強い印象を与えます。
児童がかぶる帽子やレインコートなどにも目立つ色(注意を促す色)の安全色として黄色が使われます。

 また、目立つかどうかは組み合わせの色との明度差が関わってきますが、黒地に黄色の配色は、視認性が高く、最も認識しやすい色の組み合わせとしても知られています。

 工事現場や踏切などでこの配色が使われるのもこういった理由からで、雨雲や曇天の下の灰色の景色の中でも黄色はよく目立ちます。