「言葉の力」
 古来から洋の東西を問わず、言葉にはある種の力が宿るとされてきました。
日本では「良い言葉を発すると良い事が起こり、不吉な言葉を発すると凶事が起こる」とされ、忌み言葉などもこの思想に基づくのでしょう。
「言葉は人格を表す」と言いますが、不満や悲観ばかり口にする人は幸運まで遠ざかって行きそうです。

 こんな話があります。勉強があまり出来なかった生徒に、担任の教師が言ったそうです。
「おまえは高校に進学するよりも、中学を卒業したら家業を継いだほうがいい」と。
それでもその劣等生は高校に進学しました。そこである先生と出会い、「今から簿記の勉強をすれば税理士になれる」と励まされました。
本人もその気になり、高校卒業一年目の19歳で見事合格したそうです。
ご存知のように税理士試験は国家試験の中でも難関といわれる試験であり、しかも全国最年少合格者(当時)というおまけ付きでした。

 このように、言葉は相手を落胆させたり勇気づけたり、やる気を引き出したり、奪ったりもできます。
長く幼児教育に関わってきた高橋系吾氏は「その一言」と題する一編の詩を書いていますのでご紹介したいと思います。
ちなみに高橋氏が園長を務めていた道灌山幼稚園の卒園者には水泳の北島康介選手がいます。


   「その一言」    その一言で、励まされ
              その一言で、夢を持ち
              その一言で、腹が立ち
              その一言で、がっかりし
              その一言で、泣かされる
              ほんのわずかな 一言が
              不思議に大きな 力持つ
              ほんのちょっとの一言で