「新型インフルエンザ」
現段階で世界の32の国と地域で5000人を超す感染者が確認されている新型インフルエンザですが、感染後の治療薬としてタミフルが効果があることは既に確認されています。

 タミフル(正式名称:オセルタミビル)は主に、中華料理の香辛料で有名な「トウシキミの果実」、八角(ダイウイキョウ)の成分(シキミ酸)を原料に化学合成で製造されているそうです。
ダイウイキョウは毎年3―5月に収穫され、乾燥させたものは香辛料や健胃薬の八角として親しまれ、中国が世界シェアの約8割以上を占めるそうです。

 先日は中国でも新型インフレエンザの感染者が確認されましたが、それ以前に世界的な蔓延が話題になっていた際、中国政府高官が「豚肉の調理に八角を用いれば、インフルエンザ感染予防に役立つ」と冗談交じりに発言したことで八角の価格が急騰しています。

 ちなみにオセルタミビルとシキミ酸は構造的に全く違う物質であり、八角を食べてもインフルエンザには効果がありません。

 治療薬のタミフルに対して、予防薬のワクチンの量産準備も進められています。
従来のワクチンは今回の新型インフルには効果がないため新たなワクチンを製造する必要がありますが、大量に確保するには半年程度かかるそうです。

 ワクチンは、製造に適したウィルス株があれば1人分なら1週間程度で製造可能です。
量産を難しくしているのは、ワクチン製造に鶏の有精卵(受精し、細胞分裂が行われている卵)が必要不可欠だからです。(店頭で売られている鶏卵は無精卵)

 ワクチンは、鶏の有精卵にウィルス株を注射して培養し、培養されたウィルスを薬剤で不活性化して作られます。大量のワクチン製造には1日あたり百万個単位の有精卵が必要であり、それだけの量の有精卵を確保するにはかなりの日数がかかり、製造後の検査等を含める半年程度かかってしまう計算になります。

 日本では、ワクチン製造に有効なウイルス株がまだ入手できたいないため、製造に着手できていません。