「居酒屋②盛り塩」
飲む機会が増えるこの時期、飲食店の入り口付近に盛り塩がしてあるのをよく見かけます。
塩はお清めやお供えものとしてよく用いられますが、店先に塩を盛るのは下記の伝承が由来となっています。

 その昔、中国の皇帝は多くの妃を持っており、日本の大奥などと違い、妃達はそれぞれに居を構えていました。寵愛を受けたくとも、妃の数があまりに多いため、皇帝が乗った牛車がいつ自分のところへやってくるのか分からないという有様だったようです。
皇帝も牛任せでその日の行く先を決めていたという具合だったのですが、ある時期から決まってある妃の家の前でばかり停まるようになります。
必然的に皇帝もその妃のところで泊まることが多くなり、寵愛を受けるようになっていったとのこと。
その時の仕掛けが、牛の好物の塩を入り口に盛っておくというものでした。

 塩につられた牛が待ち人をつれて来るというわけですが、この話が伝わり、客を呼ぶ縁起物として塩が盛られるようになったそうです。

 由来はともかく、先日店先で塩を盛っている女将さんを見かけました。
その人にとっては、塩を盛ることも、挨拶することも、感謝することも、仕事をすることも、「真摯に」という点で全て同じ事なのだろうと、ふと思った次第です。