「和風月名」
それぞれの月には和風月名という異称があります。
夜が長くなる九月は「夜長月」「長月」「暮月」、長雨も多いので「雨長月」、収穫時期を向かえて「稲刈り月」などと呼ばれます。

 他にも、旧暦との時期のズレもありますが、夏が過ぎて「季秋(きしゅう)」、菊が見頃で「菊月・菊見月・菊開月」、竹の新葉が青々と茂る「竹の春・竹春」「竹酔月」。
昔は暮れるのが早まれば寝るのも早くなり、それ故夜中に目を覚ますことが多くなることから「寝覚月(ねざめづき)」。
一月、五月と並び、斎(い)み慎む月と考えられたところから「祝月・斎月(いみづき)」。

 山々が色づきはじめる「紅葉月」。彩り豊かな木々の葉に加え、名残惜しむ夏の花、そして秋の花も咲き始める九月は「色取月(いろどりづき)」とも呼ばれます。

 説明し尽くすわけでなく部分を表現しているに過ぎないのですが、それぞれに具体的な情景を思い浮かべることができる古来の表現の仕方は、なんとも味わい深い趣があります。