「蛍(ホタル)」
 昔は、夏休みになると真っ黒に日焼けした子供たちが大声を出して遊んでいる姿をよく目にしたものですが、最近はそういう姿を以前ほど見なくなったような気がします。

 「夏休みセミよりうるさい母の声」 

 上の句は小学生が作ったものですが、どこにでもありそうな情景に微笑ましくもあります。

 ところで、澄んだ自然環境に住むホタルは「環境のバロメーター」とも言われ、河川の水質改善や農薬使用の減少により徐々にホタルが戻ってきているという話を聞きます。
その一方でホタルビジネスが毎年拡大し、安易で身勝手な移入が生態系の破壊につながる事例も起きています。

 古来から日本人に愛されてきたホタルは火垂(ほたる)とも書き、その様子を謡った恋歌に次のようなものがあります。

 「恋に焦がれて鳴く蝉よりも、鳴かぬ螢が身を焦がす」

 恋の話ではありませんが、あまり口答えをしなくなった子供たちが増えているとも聞きます。
声にださない声で何かを訴えている子供たちが少なくないのかもしれません。

 語らざれば憂いなきに似たり・・・・・。

これは、江戸中期の僧で富士山と並び称された白隠禅師が世に残し、良寛が愛し、相田みつをが紹介し皆が知るようになった詩(下記)の一節です。

  君看双眼色(君看よ双眼のいろ)
  不語似無憂(語らざれば憂いなきに似たり)