251209 物語は成長 伝承・記録・コンセプト豊富化250912
251209 物語は成長 伝承・記録・コンセプト豊富化250912

「物語は成長する」。このキーワードを耳にしたのは、学部の研究室で担当教員との面談の時であった。
 当時、刊行されたばかりの杉浦明平著『戦国乱世の文学』(1965年 岩波新書)の一話。
 その内容が、1950年頃に聴かされていた寓話の一説と、あまりに異なる解釈であったからだ。

 そのとき「物語は成長する」の概念も、発言の起源も確認することはなく、「そう言うことか」。
 そう受け止めてきた。ただ、口承の「日本神話」が「古事記」に結集され、それが「神国大日本」に美化された点は、<『物語>、負の成長』と、受け止めることにしてきた。
 こちらについて後世、上田正昭著『日本神話』 (岩波新書 1970年)が、世に出た。
 本書には「政治的目的のもとに体系化されたもの」を「徹底的に再検討することにより、日本神話の原像を追求」とする、書評もある。

 口承伝承の内容を、象徴的表現と理解する手法もある。そうした点に思い至った。
 かく顧みるに幼児から聞かされてきた「釈迦―(浄土三部経)―七高僧―専修念仏」。
 そう仏典解釈の積み重ねは、「物語は成長する」の一形態と受け止めることに。

 この思想過程を表現する一文。
 掲載の画像=『顕浄土真実教行証文類 総序』、教科書で紹介『教行信証 総序』の一に思い至る。