農業経営者家屋―間取り&生活形態 1950年代―(1)
 農業経営者家屋―間取り&生活形態 1950年代―(1)

 玄関から障子や板戸を開くと、居間があり、家族が暮らしていた。
 1950年、農業経営家庭の家屋、その第一の特徴であった。
 仕切り戸に接するように暖房用排気筒。世に「煙筒 えんとう」。

 その隣には「湯沸かし ゆわかし」。つまり「薪ストーブの排気筒を通じて得られる熱量で水をあたためる」設備。
 薪ストーブの前には、主が座り、時々、ストーブの扉を開いて燃料薪を追加。火勢を落とすことなく、採暖を安定して維持することが役目であった。
 背後に燃料となる「薪 まき」を補給する箱が置かれている。

 ストーブを配置する空閑は、「土間 どま」と呼ばれ、床を掘り下げて設置された。
 熱の上昇を、最大限に身体で感ずることのできる構造。
 冷え切った足を、ストーブのヘリ=縁まで伸ばし、あたためることも出来た。

 西を背に主。北側に夫人が着座。子どもたちは南の<窓ぎわ>を背に座るが、そこは客人の座席。来客があると、夫人の席の背後に用意されている、<ちゃぶ台>を囲む。
 ちゃぶ台は、食事を摂る場所にして、食間は<勉強机>。

  南向き玄関の「つきあたり」=直進した位置に、多くは台所と呼ばれる炊事場。
 七輪の置かれた台の横に「流し ながし」と呼ばれる食材の洗い場。その隣には1斗の水が有に入る「水桶」。そこには70センチほどの柄がついた「柄杓 ひしゃく」があった。
 
 (参考)
 田の字の間取りは日本の住宅の原点とも言われています。古民家の多くは農村にある茅葺き屋根の農家住宅で、広間型の間取りから発展し田の字型へと変わっていきました。
 (掲載図含め https://kominkai.net/nouka-madori/#google_vignette  古民家探訪 251204 pm20:15)