津波伝説に神事祭祀型&信憑属性 アイヌ民族口承伝承の担保250910
 津波伝説に神事祭祀型&信憑属性 アイヌ民族口承伝承の担保250910
 江戸時代のクスリ場所に5地点に津波の口承伝説、2地点に同一の津波関連地名が残る。
 末尾の記載に注目。

 ①オプタテシケヌプリ=屈斜路湖の北にある藻琴山と南のオプタテシケヌプリ間の伝承
 「そこへ避難していた附近のアイヌは助かったので、それ以来非常に尊い山として尊敬され、祭りの時には必ずこの山に酒をあげることになった」
       (釧路屈斜路 弟子カムイヤ老伝 更科 一九五五年 二八二-二八三p)

 ②虹別の一本木=野付海峡に流出の西別川上流部。
 「この土地をシュネニウシ(一本木のあるところ)といって催事には酒をあげるようになった」(標茶町虹別 前田千太郎伝 
        更科源蔵『北海道伝説集・アイヌ編』(楡書房 一九五五年 二八七p)

 ⑦コイトイ沼の神岩=茶路川と庶路川の間に「コイトイ」
「住民は喜ぶも婆さんの姿は見えなくなり、気がつくと沼の奥に大岩が立っていた。占いの婆が岩に変じたのだと住民はイナウ=木幣をあげ『神岩』と呼んだ」。
 (庶路・神の沢、芦名ヨシの話、佐藤直太郎『続佐藤直太郎郷土研究論文集」 釧路市 一九六八年 四六p)

 ①にある「祭りの時には必ずこの山に酒=献酒」、②「催事には酒をあげる=同」、⑦「住民はイナウ=木幣をあげ(神事祭祀)『神岩』(神体化)と呼んだ。
 ①、②、⑦を「神事祭祀型」と区分しておく。