巨峰へ簡潔に誘う 姜尚中著「夏目漱石 悩む力」.
姜尚中著「夏目漱石 悩む力」.
 紹介によればマックス・ウェーバーと同世代、代表的著作「プロテシタンティズムの倫理と資本主義の精神」と「類似するところがあって、面白い」(77p).
 言われてみると、そうかもしれない.

 「坊ちゃん」「三四郎」「吾輩は猫である」の三作.後につづく「それから」「彼岸過ぎまで」「こころ」などなど.
 前者と、後者に<同じ作家>かと、おもいめぐしたことがある.

 新聞小説が、読者をひきつけ、迷路にはいるごとく奥行に誘い込まれる.読み続け、読ませつづけた<難解>.そこを、簡明に読ませてくれる.「巨峰へ簡潔に誘う」というのが、本書の存在感、か.