「いずれアヤメかカキツバタ
五月は一層濃くなってきた葉の緑とともに花々が美しい季節です。

 水辺に際立つ水芭蕉。藤棚から垂れ下がる藤の花。紫色のアヤメ(文目、綾目、菖蒲)もこの時期に咲く花で、同じアヤメ科に属するカキツバタ(杜若)とともによく目にする花となっています。

 ちなみに、アヤメとカキツバタは「いずれアヤメかカキツバタ」と言われますように区別が難しいのですが、葉の幅が判断材料の一つで、葉の幅が広いのがカキツバタで細いのがアヤメです。
また、カキツバタは湿地を好み、アヤメは日当たりの良い乾燥地を好むという違いもあります。

 公園などの湿地では鮮やかな黄色い黄菖蒲の群生も目にします。また、地面に近い場所で咲いている白いボンボンのような小さな花はクローバー。本来は白詰草という名を持ち、昔、交易のために来航していたオランダ人が商品を箱詰めするときの詰め物として用いていたことからこの名が付けられたそうです。

 稀に見る四ツ葉は、その形が「十字架」に似ていることから幸運のシンボルとされています。

 「立てば芍薬(風情があり)、座れば牡丹(華麗で)、歩く姿は百合の花(清楚)」の芍薬(シャクヤク)も今の時期の花で、根は鎮静・鎮痛剤として使われる漢方薬の一つです。

 牡丹と芍薬もまた似ており、枝分かれして横に膨らんでいるのが牡丹。まっすぐに伸びた枝の先に花をつけるのが芍薬で、牡丹と入れ替わるようにして花の時期を迎えます。