「家族観の変化」
 2001年9月11日の同時多発テロ、いわゆる「911」の発生はアメリカ市民の家族観を変えたと言われます。

 その一端となる現象が、事件発生後の結婚の急増です。
当時、結婚を決意したアメリカ人のある女性は、不安や恐怖の中で一人ぼっちで過ごす孤独感から、誰かと一緒にいたいとの思いが強くなったと述べています。
同じような事象の兆候が、東日本大震災後の日本でもみられるそうです。

 ところで、カナダの心理学者がある実験をしました。頑丈な橋と揺れる吊り橋の上で男女の出会いをセッティングしたところ、揺れる吊り橋の上で出会った男女の方が恋愛感情に発展するケースが多かったそうです。
不安や緊張を共有したことがそのような感情の発芽となったとするこの実験結果は、「吊り橋理論」として広く知られるようになったそうです。

 テロや戦争、大規模災害などの後によく見られる結婚の急増を説明する際にこの理論が持ち出されますが、このような大きな事件・災害の発生が人と人の絆、家族の大切さを見直すきっかけになるのは間違いありません。

 ちなみに、911後は、深刻な状況への対応を見て別れを決断するケースや長年続いた関係を「時間のムダ」として清算するケースも増え、自分に何かあった場合の愛する家族の身を案じ、あらかじめ遺言状を作成する人などが増加したそうです。