蜜柑(みかん)
 関東の観光農園ではぶどう狩り・なし狩り、栗拾いがそろそろ終盤を向かえ、今はさつまいも掘りが賑わっているようです。

 いも掘りが終わるとミカン狩りの季節になりますが、今年は柑橘(かんきつ)類の生育が遅れ、日焼けなどの品質低下(日焼けした部分の果実が堅くなったり、水分が抜けてパサパサになる)が目立つなど、猛暑と小雨の影響が心配されています。

 ところで、総務相の家計調査データによると、ミカンの消費量の落ち込みが顕著となっているようです。
1988年のミカンの消費量は、二人以上の世帯で年間32kgでしたが、2008年の消費量は約15kgと、20年間で5割以上の減少となっています。

 理由はいくつか指摘されていますが、一つはミカンの定位置だったコタツを置く家庭が減ったこと、加えて核家族化で買うのは10個程度の袋入りが主流で、箱買いする消費者が少なくなったことなどがあげられます。

 また、年配者の消費量は多いのにそれ以外の世代、とくに子どものミカン消費量が少なくなっています。
宣伝力が大きく手軽でもあるお菓子の影響を指摘する向きもあり、果物の種類が増えてきたことも理由としてあげられています。

 ちなみに、過去10年程度の消費量の推移を見てみますと、ミカン、リンゴ、グレープフルーツ、ナシ、ブドウ、スイカ、モモ、メロンなどは軒並み減少。
皮むきや種だしが面倒と認識されていることが大きな理由のようです。

 その一方で、バナナとキウイの消費量が大幅に増加しています。バナナはダイエットブームも追い風となりましたが、安いうえに皮をむくだけの朝食として食べる人が増えおり、キウイも半分に切ってスプーンですくって食べられる手軽さが受けています。

 同じように皮をむくだけで食べられるはずですが、ミカンの場合はそれが面倒とされ、皮をむくときに白い筋がつめに入るのを嫌う女性も少なくありません。

 福岡県の冷凍食品販売会社がみかんのそうした状況を商機と捉え、皮をむいてから凍らせた冷凍ミカン、その名も「むかん」を売り出したところ、年配の方には懐かしさ、若い人にはシャーベット感覚で手軽に食べられるとして人気となっているそうです。