「鳳仙花(ホウセンカ)」


 秋の気配が漂うと人家の近くでいち早く鳴き出すコオロギ。
コオロギは「肩させ、裾させ、綴れ(つづれ)させ」と鳴くといわれ、昔の女性はこの声を聞くと繕ったり、背丈を直したりして秋の衣服を整えたそうです。

 ところで、7月頃から今の時分に咲く花に、鮮やかな紅色の「鳳仙花(ホウセンカ)」があります。
花色豊かなこの花で、色水をつくって遊んだ方もいらっしゃるかと思いますが、ずっと昔は爪を染めるのに使われた花でもあります。
いわゆる現在のマニキュアで、別名を「爪紅(つまべに)」とも言います。

 その実は熟すと、かるく触れただけで勢いよく弾け飛びます。そのことから「インパチエンス(我慢できない)」との学名を持ち、「せっかち草」との異称もあります。英語名では「Touch Me Not」。

 鮮やかな紅色で気を惹いておいて、「私にふれないで」とは・・・なるほど。

 ちなみにこの鳳仙花、堅い魚の骨や肉類を煮るときに種子を数粒入れると柔らかくなることから「骨ぬき」という名も持ちます。