「夏越の禊(なごしのみそぎ)」
 今日で六月も終わり、早一年の半分が過ぎようとしています。
一年の区切りとなる大晦日に、その年の穢(けが)れを祓(はら)い、来る年の無病息災を願うことは一般的に行われていますが、明日の六月晦日も半年分の穢れを祓い、これからの息災を祈願する日となっています。

 京都の北野天満宮や鎌倉の鶴岡八幡宮の恒例の「大祓(おおはらえ)」の神事など、各地の神社で行われる夏越の禊(なごしのみそぎ)は古来から伝わる行事で、茅の輪くぐりや、人形(ひとがた)や車形で厄払いを行います。
衛生事情が悪かった昔は、この時期にあらためて無病息災を祈願し、それを生活の中で意識することは今思う以上に重要なことだったはずです。

「水無月の 夏越しの祓する人は ちとせの命 延ぶというなり」  (拾遺集)

「思う事 皆つきねとて麻の葉を きりにきりても 祓ひつるかも」(後拾遺集)


 夏の訪れを告げる夏越の禊は、これからの季節を大過なく過ごすための大切な行事でもありました。

 日常であるが故につい疎かになってしまっていることが多々あるものです。
生活の中に区切りをもうけるのは非常に便利な習慣で、過ぎた半年を振り返ることでこれからの半年に活かそうとした先祖の知恵でもあります。