「雛祭り」
 此方(埼玉)は5日連続の雨、久しく青空を見ていません。
特に今日は春とは名のみで、朝から冷え込み今冬初めての降雪でした。

 ところで、もうすぐ雛祭りですが、京都御所はむかし「内裏(だいり)」とも呼ばれており、「内裏様」というのは宮中の貴人を指しています。
「右近の橘・左近の桜」が雛壇に飾られるのも御所の正殿である紫宸殿(ししいでん)を模しているからだそうです。

 紫宸殿にあったのは当初は梅でしたが、乾枯したのをきっかけに桜に植え替えられました。
神話の頃、コノハナサクヤヒメが富士の頂から種を蒔いて咲いたと言われるのが桜で、古くから日本人に親しまれてきました。
橘は、常緑の葉が永遠を象徴する縁起の良い木です。

 また、雛壇には桃の花も飾られます。上巳(旧暦三月最初の巳の日)のころに咲く桃は安産や強い生命力の象徴とされ、中国ではその実を不老長寿の仙薬とする伝説もあり、さらに魔を祓う力もあるとされていました。
ちなみに昔々の桃太郎の話は老夫婦が桃を食べて若返り、子供を授かるというお話でした。

 遊び道具が少なかった昔の女の子にとって、キレイに着飾ったお雛様は憧れであり自分の将来の姿、年に一度のひな祭りが大きな楽しみで待ち遠しかったはずです。

 最近はあっても飾らない人が多いようですが、一方で親王飾りといって出すのも仕舞うのも比較的容易で場所も取らない親王様二人だけの平飾りがよく売れているそうです。
季節感を取り入れたインテリアとして自分のために購入する女性や、物資の乏しかった終戦後に子供時代を過ごした年配の女性が買い求める例も多く、今年のひな人形の総売上額は昨年より5億円多い570億円が見込まれているそうです。