「歌舞伎言葉」
 古い日本語では、勝手な振る舞いや奇抜な身なりをすることを「傾く(かぶく)」と言い、奇抜な演出が持ち味の歌舞伎の語源ともなっています。

 歌舞伎は、今からおよそ400年前の出雲阿国(いずものおくに)のかぶき踊りが始まりとされています。

 現代でも「黒幕」や「十八番(おはこ)」などのように、歌舞伎に由来する言葉が日常的に使われているケースが少なくありません。

 「二枚目」というのもその一つで、もともとは歌舞伎を上演する芝居小屋で客寄せのために八枚の絵看板を掲げていたことに由来します。
その看板は、一枚目の「書き出し」に始まり、「二枚目」には美男の花形役者の絵が書かれており、「三枚目」に道化役が書かれていたことから、二枚目=美男子、三枚目=面白い人という使われ方をするようになったそうです。ちなみに「二枚目半」は、三枚目の要素をもつ二枚目のことを指します。

 また、飲食店などで使われる「おあいそ」の使われ方も歌舞伎に由来しています。
歌舞伎で、女が特別の事情から愛する男と“心ならずも”無理に縁を切ることを「愛想尽かし」と言い、転じて店の主人が勘定を請求する際「誠に愛想尽かしな事ですが・・」とへりくだって言うようになったことから、この「おあいそ」という言葉が勘定を意味するようになったそうで、いつしかその意味だけが残り、今では客が店側に勘定を促す際に使われています。

 尚、歌舞伎の「愛想尽かし」の場合は“心ならずも(本心からではない)”という場面設定となっていますが、現代語に言う「愛想が尽きた」は単純に「好意や愛情がなくなってしまった」という意味で使われています。