「世知辛い(せちがらい)」
 よく使われる言葉に「世知辛い(せちがらい)」というのがあります。
世知とは世渡りの才能という意味で、それに困難を意味する語を続けることで、「世渡りが難しい」「暮らしにくい」というような意味になります。

 ところで、「労働運動総合研究所」などが首都圏での最低生計費について試算したところ、20代男性単身世帯で月額23万3801円、30代母子家庭で同35万512円、40代夫婦子供2人で同56万3652円、70代単身女性で同20万4815円などという結果になってるそうです。

 最低レベルの生活をするには試算上これだけの費用がかかるということですが、実際には生活保護受給者の受給額はこれを下回り、公的年金のみで生活している高齢者は生活保護のレベルをさらに下回り、パートやアルバイトでフルに働いても上記試算額に届かないケースも少なくありません。

 それぞれに必死に生活の糧を稼ぐのは当然のことではあるものの、それぞれにどうしようもない現実が存在することもまた現実です。

 師走が近づきますと「世知辛い」話題が増えてきます。
「世知辛い」という言葉には「自分の損得勘定ばかりで余裕がない」「打算的」という意味もありますが、せめてそうならないよう気をつけたいもの。
師走の寒風の中、人を温めるのは、やはり人の温もりです。