「紅葉(もみじ)」
紅葉狩りのシーズン、この関東でも箱根あたりでは今が紅葉の見頃でしょうね。

 紅葉(こうよう)とは申しますが、もちろん紅色ばかりではありません。この時期の山々は黄色や濃い赤色、茶色、様々な色彩・グラデーションが鮮やかです。

 紅葉(もみじ)とは、もともと「色を揉み出づる」の意味で秋になって草葉の色が変ることを指しますが、楓の紅葉が一番に美しいことから紅葉と言えば楓を言うようになったそうです。

 季節を形容する時、「色」一つを取っても昔の人の表現は実に情緒豊かです。
茜色(あかねいろ)、柿色(かきいろ)、紅色(べにいろ)、蘇枋色(すおういろ)、牡丹色(ぼたんいろ)、赤朽葉(あかくちば)、支子色(くちなしいろ)鬱金色(うこんいろ)、黄蘗色(きはだいろ)、黄朽葉(きくちば)等‥。

 平安時代の人は、十二単に代表されるように、衣に花や木をイメージさせる色を重ね、季節を表現していました。 それを「かさね色目」と言うそうです。

 秋の野山に紫紅色の花を咲かせた山萩の花色を表した色目、晩秋の赤く色づいた朽葉の色をあらわした色目など、これらの色目の作法をそれぞれ「萩」、「朽葉」などと表現します。

 秋から冬へ、季節を表す色目も変化します。冬枯で草葉の色が淡茶に変った情景の「枯色(かれいろ)」から、白を重ねた「氷(こほり)」、そして表に白、裏に鮮やかな紅梅を配し、雪に埋もれた紅梅の花をあらわす「雪の下」へと変わってゆきます。