顔の表情
 人間には様々な能力が備わっていますが、使わないとたちまち劣化してしまいます。筋力や記憶力などがそうで、表情もその一つでしょうね。

 顔には様々な表情筋(頬骨筋や笑筋など)があり、鏡の前で様々な表情をしてストレッチすることで、表情が豊かになり、活き活きとし、能面のような顔つきにやわらかさが生まれてくるものです。

 厳しい寒さと最近の物価高で、つい表情も硬くなりがちですが、福沢諭吉は「学問のすゝめ」で表情について次のように書いています。


『人の顔色は、いわば家の門口のようなものだ。広く人に交わって自由に客を招き寄せるには、まず門口を開放して、玄関を掃除し、ともかくも人を来やすくさせることが肝要であろう。

 人に交わるのに、顔色をやわらげようともせず、かえって偽善者の風を学んで、わざとむずかしい顔つきを見せるのは、家の入り口に骸骨をぶら下げ、門の前に棺桶をすえつけるようなものだ』と。

 福の神も人様も、この点ではまったく同じです。