ハード・ソフト・ガイド 三位一体の計画都市化230301
  ハード・ソフト・ガイド 三位一体の計画都市化230301

 北海道東部の一港湾都市。
 このマチの「原港区 げんこうく 自然港湾時代に貨客の輸送拠点として成立した港湾基部の区域」背後圏で、区画整理事業が企画された。
 施政者は「地域で最初に開発された地域を、最新の景観に作り替える」。意欲をもって、取り組んだ。釧路市米町区画整理事業。
 昭和の末に始まり、平成の初頭に完工した。

 街路整備・避難施設・下水道整備。入り組んだ住居区域に小路を設け、街路を拡幅して、緑地も確保された。
 マチの風通しは良くなったが、土地所有者はそれぞれに幾分かの所有地に減歩を求められ、これを機に離郷する人もあらわれた。
 ハード事業でマチの景観は整備されるが、住民の距離、離郷の民、木の壁からコンクリートの建造物も増えて、表情が<硬く>なった。

 ハード事業の担当者は、そこにソフト事業を重ねることを考えた。
 他課の参画もうけて「ふるさとの歴史の散歩道」「啄木歌碑20基」の混建立に取り組んだ。
 旧来の7基とあわせ、一行政区域で当時は27基の「啄木歌碑」を擁したから、その取り組みには<感嘆の声>が寄せられた点は、言をまたない。

 話は、ここで<一話>となる。ただ、本州のハード整備事業に照らし、備えていない点が一項目。
 整備されたソフト事業は、居住する市民の文化度を高め、居住地への愛情に加えて、地域の属性を内外に示す。
 「地域の愛情&属性を内外に示す」で他の地域から、対象地域への<求心力&吸引力>を高め、かつ、深めるパワーポイントではないだろうか。

 啄木歌碑で申すと、近代短詩文学の研究者や愛好者、熱烈な支持者にあてはまる「専門家・玄人」が存在する。
 他方で次世代の育成を含めて、これから関心を高めよう、深めようと<作品の舞台>を訪ねる市民が増加している。
 この間にあって、<専門家ー市民>を結ぶ、ガイドの存在とその階層。

 ここに、いささか<薄い>部分があるのではないか。そこに<地域の含み資産>の「薄力 はくりょく うすさ」を感じとり、次の行動目標にすえておきたい。