タンピン、たんぴん、単品開発能力、技術力、チェックの力量 「<含み資産>が衰退」230302
男性が問うた。
「ニチロマルハ釧路は、遠洋はどこまで船、出してるんだろうか」
「さんま、イワシ、サバはそれぞれ漁場が違うのに」。
戦後、このマチには「五大水産会社」という日本、日魯、極洋、極東、マルハ大洋が出そろった。うち、日魯は缶詰工場の操業を続けている。

答えて応じた方がいる。
「マルハの船もあるけど、船はいろんなところから来ているみたい」
「釧路の船はだいぶ、やめているのかもです」「えっ、そんなところから来ているんですか?って、言った覚えがあります」。

筆者は書いた。
「ニチロの缶詰の話ですが、北海道というか、釧路は何をするにも単品なのですよ」。
「魚なら魚のみ」「山形の村山に、突然、サバ缶詰ブームが起きます」。「なぜか」。
「サクランボの缶詰加工を始めたところに、原料がなく操業を休むことになる」。
「その端境期にサバ缶詰を作り、かつ、その缶詰をマチ中に普及させるわけ」。

「折からの青魚ブームに乗っかって、普及に拍車がかかって、サバ缶詰の使用が広まります」
「デザートにはサクランボの缶詰が使われたどうかは、わからないけど、さ」。

承けて女性は、加えた。
「(地域は)単品、タンピン」「何をするにもたんぴん」「単品じゃダメってことですね」。

明治大学教授の斎藤孝氏が書いた。「読書は地域の含み資産」。
タンピン、たんぴん、単品を克服するには、モノとモノ、方法と方法、既存の設備を有効利用する<人間の知恵・経験・技術・投資>が不可欠ではないか。
そこを可能にする相対的力量。形にはなる前の、潜在的力量を<含み資産>と考えては如何。

時々、自動車のリコールが報道される。良かれと開発したニューモデルに欠陥。
指摘されていることは開発能力、技術力、チェックの力量。庶民の側にあった「開発能力、技術力、チェックの力量」が、エリートの側に収れんされ、長く培ってきた「庶民の手にあった<含み資産>が衰退」しているのでは、ないか。

タンピン、たんぴん、単品開発能力、技術力、チェックの力量 「<含み資産>が衰退」230302