「強権が分断を広げた」 「声なき声くみとる政治を 価値の揺らぎにー3ー」230104.
「強権が分断を広げた」 「声なき声くみとる政治を 価値の揺らぎにー3ー」230104.
新春、1月4日の道内配布紙は「価値の揺らぎにー3-」で、「声なき声くみとる政治を」と<民主主義の危機>についての第3報を掲載した。
「新たな民意探る試み」「強権が分断を広げた」「制度見直しも必要だ」と、<小見出し>を付す。

冒頭には「首相が昨年7月、参院選の応援演説中に銃撃された事件は国内外に衝撃を与えた」に始まる。
「価値観が多様化し、既存の民主主義の仕組みでは捉え切れない民意が膨らんでいる」と指摘する。
そのうえで、「声にならない市井の意思をくみ取る丁寧な政治が求められる」と、受けているのだが。

安倍政権の時期に、国会中継の番組。チャンネルを切り替えたり、テレビのスイッチを切断ことを繰り返した。
与党の提灯担ぎの質問には、ここぞとばかり得意満面で喜々と応ずる。他方で野党に対しては木で鼻をくくり、ご飯論法をもちだして、まともに答えなかった。
「声なき声くみとる政治」などという、モノ優しい段階にはなかった。

参院選といっても3年前の2019年のことだ。札幌で遊説中の首相にヤジを飛ばした。
北海道警察の警察官がちかづいてきて、「不当に排除されたとして、道に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の判決」。
結果は北海道警察の全面敗訴となった。当然といえば、当然ながら、これとても「声なき声くみとる政治」であったか、どうか。

政治家の論理の欠如、ユーモアの欠落よりも前に、お粗末な政治家の仮面が一度ならず、なんども市民の前に明示された。
そうではなかったか。ヤジを飛ばしてこの訴訟で原告となった一人は、当時、申していた。
「ボクは安倍的なものにNOをいうような判決かもしれないとおもった」。

民主主義の危機。国民の信託をうけた政治家の発言に対しても、政権にしがみつく愚かさを見せた本邦の政治。
いまこそ投票率をあげたい。「投票率が高まらないと、政治家は緊張しない」。
そうした論がある。傾聴したい。

(2022年3月25日 『毎日新聞』ネット配信)
札幌市内で2019年7月、参院選の街頭演説をしていた安倍晋三元首相にヤジを飛ばした札幌市の大杉雅栄さん(34)と桃井希生さん(26)が北海道警の警察官にその場から不当に排除されたとして、道に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、札幌地裁であり、広瀬孝裁判長は「政治的表現の自由を侵害した」などとして、道警側に計約90万円の賠償の支払いを命じた。【撮影・貝塚太一】