XML 転識得智 <誤びょう>を質的に転換 『草枕』冒頭の一節から221210
​​ なにかと<誤謬 ごびょう>の多い第八識を転じて、本質を瞬時に、しかも真正に了知する智慧を獲得。
 そこを「転識得智 てんしきとくち」と定義するらしい。

 「能変する作用をもつ第八識に依存する状況からの脱却が求められる」と。
 転識得智 誤びょうを質的に改造して、自己と世界の本質を瞬時に、しかも真正に了知する智慧を獲得。
 そう説明している。

 漱石著『草枕』冒頭の後段は、「とかく人の世は住みにくい」で、受け止められる。
 「怨憎会苦 おんぞうえく」とは申すも、要は「<嫌な奴には良く会う>の苦しみ」。

 そこで「住みにくさが高じる」と「安い所(家賃の高低ではなく)=住み易い所へと引き越したくなる」。
 が、さりとて「どこへ行っても住みにくい」。
 そのように否応なく、気づかされることになる、と。

 第六識=意識の世界で、「住みにくい」とか「住み易いところがあるはず」と感じ、
 第七識=自己中心の世界で、「そこへ転居してみようや」と行動し、
 第八識=やっぱり、いずこも同じと判読するか。
 
 『草枕』は「いずこも同じ」と気が付いたところで、三点の方向に転換するのでは。
 1)詩が生まれる、2)画が出来る。
 注目するべきや3)「やはり向こう三軒両隣にちらちらするただの人」がいる現実(126p)。