前五識、六識と七識、八識  多川俊映著『唯識 心の深層をさぐる』日本放送協会出版。
前五識、六識と七識、八識  多川俊映著『唯識 心の深層をさぐる』日本放送協会出版。

東洋思想に「唯識 ゆいしき」なる思想体系があるらしかった。
 「らしかった」とするは、子どもの頃に聞かされたことである。
 「末那識 まなしき」というのがあって、さえらに心の奥底に「阿頼耶識 あらやしき」なる思想が存在する。

 大正6年生まれの親父の酒をくみかわしながらの談義であった。
 2017年に横山紘一著『唯識 仏教的深層心』なる本から読み始めてみた。
 第七末那識=母性本能、第八阿頼耶識=遺伝子相続。わが子を思う母親の表層心理と、同じく深層心理を言い当てた箇所。そこだけは今も、鮮明に記憶してる。

 最近、多川俊映著『唯識 心の震度をさぐる―上―』を読んでいる。両書にはまったく、趣をことにする点が感じられた。
 「年間12回 毎回30分」。ラジオ番組の多川著『唯識』と、「年間12回 毎回一時間」の横山『唯識』。

 所要の時間に倍の違いがあるだけではなく、論点の構成も大きく異なるの感がある。