大岡信著『第三折々のうた』
 大岡信著『第三折々のうた』.自分で買い求めた物ではないが、本棚にあった.
 本書は1982年3月15日から翌年3月14日までのコラム欄投稿を一書にまとめたとされる.

 「あとがき」の記載に、次の点がのべられる.
 「詩の歴史を、短歌、俳句、近代以降の詩、という三つの分野について見るだけでたれりとしがち」な世間一般の常識に対して、「日本の詩歌は、もっと裾野の広いものであり、種類も豊富」「(全容を系統立てて紹介する)企てが将来実現されるよう、その機運を醸成する役割の一端くらいにはないたいと願っている」(185p).

 このあたりが、かれこれ1000余の、歌=首、俳句=句、詩歌=編の撰述を瞬時におこなった、軌跡であるのだろうか.

 『第三折々のうた』を読むにいたり、読者として歌を読むことで得られる力.また歌人が詠むことで力をえる可能性を実感した気がする.

 酒のまむ友どちもがもしくして雪の降る夜は寂しきものを 和田巌足(わだ いずたり)

 作者は、熊本藩士にして、槍術にすぐれるも、たびたび無実の罪を受けて左遷させられるなど「仕官の身としては不遇だった」という(164p).

強く生きるに、「みそひと文字」が力であったかと知らしめてくれるの、感(1983年 岩波書店).