関 満博著『現場主義の人材育成法』
 関 満博著『現場主義の人材育成法』。地域活性化ということが言われて久しい。「こうすればよい」の議論は多いけれども、「こうやっている」は少ないような気がする。
 科学に書斎科学、実験科学、野外科学があるといったのは川喜多二郎かと思うが、研究室を飛び出し果敢に地域で実体経済を担っている人と接点をもち、学生(院生)の教育をゆだねている点が、ユニーク。

 国の内、外(中国)を舞台に、実学の機会を体験しながら研究書を手に、理論化をめざす姿勢は、今や必要なのかもしれない。
 かつて家に職業教育があり、男親が伝来の家業発展のために幼少の折から職業教育を施すという機会は解消と言うより、欠落したというべきであろう。

 そこのところに著者は、「目標を持つ」、就職したら「経営者を目指す」「スペシャリストを目指す」と、提案する。
 そのうえで、経営者の家庭で育った子女にこそ「代わって期待を満たしてくれる仕事ぶり」が、期待できるとする。
 親が給料日を前に、「(従業員の)給与支払いをめぐり夫婦が喧嘩する場面を見ている子」は、「違う」のだとする。

 本書が必要とされるほどに、「仕事をする」が「有力企業に採用されること」に置換される、現実に思いめぐらす点が多いーと、思う。(筑摩書房 ちくま新書 2005年) 。