「一陽来復」
 明日は二十四節気にいう「冬至」。
冬立つ日「立冬」と春立つ日「立春」のちょうど真ん中にあたり、「冬至冬なか冬はじめ」と言われるように、冬の厳しさが始まる時期でもあります。

 ところで、東京が江戸と呼ばれていた頃の小売業は掛売りが主流で、掛売り代金の回収は年に1回か2回。振り込みやクレジット決済などなかった昔は、「盆暮れ」という言葉にもありますように、この時期の忙しさは尋常ではなかったそうです。「師走」という月名にもそのようなあわただしさがにじんでい
ます。

 歳の暮れと新年を迎える準備が合わさった忙しさの中でも、冬至には小豆粥やカボチャを食べ、ゆず湯に入るなどの習慣は守られていました。

 これらの習慣には、寒い時節を迎え、家族の健康を気遣い、これからの無病息災を願い、新しい年を迎える前の禊ぎの意味合いがあったとされています。

 また、冬至は年間を通して夜が一番長く昼が最も短い日でもあります。
昔はこの日が一年の始まりと考えられており、世界各地に残る冬至祭は、太陽の力が最も弱まった日が無事過ぎ去り、太陽のよみがえりを祝う日でした。
異教徒の習俗を巧みに取り入れてきたキリスト教において、クリスマスの本来の起源もこの冬至祭にあると聞きます。

 日本では陰極まりて陽再び生じ始める冬至を「一陽来復」と言い、「悪いことが長く続いたあとで、ようやく良い方へ向かうこと」という意味でも使われます。
一陽来復、季節が巡るように、誰のもとにも良い時期が必ず巡ってくるものです。