「秋味」
 秋も深まり、山も空も川も綺麗ですが、この時季はおいしい食べ物がたくさんあります。
それを象徴するような『秋味』(あきあじ)という言葉があります。

 秋、サケは産卵のために海から生まれた川に戻ってきますが、その川に入る直前にとれたサケがいちばん美味といわれ、人々は心待ちにしていたサケの回帰を祝い、秋に戻ってくるこの美味しい味覚に感謝してサケのことを『秋味』(あきあじ)と呼んでいるそうです。
方言や俗語を集めた江戸期の辞書「俚言集覧(りげんしゅうらん)」には、すでに「秋味、鮭(サケ)を云(い)う」とあります。

 ちなみに、サケの卵で卵巣に入った常態のものが「筋子」(すじこ)。これを一粒づつばらしたものが「イクラ」ですが、温かいご飯にのせるその真っ赤なイクラもまた秋ならではの味です。
四季それぞれの食材の味を楽しむことが出来る喜び、これは日本人ならではかもしれません。