「鰤(ブリ」
「師走の魚」と書いて『鰤(ブリ)』。
北陸では11月も終わる頃になると、猛烈な風が吹き荒れ雷が激しく鳴るようになります。
富山湾ではこれを"鰤起し(ぶりおこし)" と呼んで、冬の鰤漁が始まる合図となるそうです。
12月から翌年の3月まで、脂ののった最高の鰤があがります。
関西から北陸にかけては、正月に食べる歳取り魚として重要な縁起物となるそうで、各地の郷土料理に使われて味の芸術を競っています。

 日本では昔、武士や学者などは成人して元服(げんぷく)すると、幼名とは違った名を名乗りましたが、魚も成長すると風味が変わるので、呼び名が変わる魚があります。
これが『出世魚』で、子供の成長や知人の栄進を祝福する時、この出世魚を贈呈することがあります。

 その代表が「ブリ」で、地域によって呼び名が変わりますが、関東では大きくなるにつれて「ワカシ」→「イナダ」→「ワラサ」と名が変わり、ブリになると体長が1メートルにも達します。
東京周辺では、養殖物を無条件に関西の若魚の呼び名であるハマチと呼ぶことも多くあります。

 ちなみに、関西では「モジャコ」→「ワカナ」→「ツバス」→「ハマチ」→「メジロ」→「ブリ」と呼ぶところが多いようです。