「栗」


 食品売り場はたくさんの秋の味覚で賑わっています。
栗も秋の味覚の一つで、縄文時代には大規模な栽培が行われるほど日本でも古くから馴染みの深い食べ物です。

 栗は意外と栄養価が高く、疲労回復や風邪の予防、肝機能の働きを助け、便秘にもよいとされます。
渋皮や栗の葉を煎じた液はかぶれにもよく効き、樹皮や毬(いが)は染料に用いられ、材は枕木や建材に使用されてきました。

 乾燥させた栗は「かち栗」という保存食になり、武田信玄は飢饉への備えとして栗の栽培を奨励してたそうです。
「かち栗」は「勝ち栗」に通じる縁起物としても武士に好まれたそうです。
又、旧暦9月9日(今年は10月26日)の「重陽の節句」は「栗節句」とも呼ばれ、栗飯を食べて健康長寿を祝う慣わしもあります。

 用途が広く縁起物でもある栗は、昔は近所の林や庭先などには必ずあった身近な存在でしたが、そういった光景も今は少なく、日本で食される栗の75%は輸入品だそうです。

 現在は手間がかからずおいしくいただける食べ物が溢れています。針で覆われた毬(イガ)をむき、さらに渋皮を剥いで食べるなどという面倒な栗は敬遠がちで、皮がむいてあって食べやすい栗の加工品が増えているのも時代の流れでしょうね。

 但し、栗は高カロリーのため食べすぎにはご注意ください。