「すべては自分次第。」
 南では燕が戻り、蝶は菜の花をめぐり飛び、北国でも木の芽がふくらむ仲春の候です。
それぞれが使命を全うするかのように動きだしています。

 ところで、昔の書物にこんなことが書かれています。
「未だ就(な)らざるの効を図るは、すでに成るの業を保つにしかず。既往(きおう)の失を悔ゆるは、将来の非を防ぐにしかず」・・と。

 つまり、まだ成就していない仕事の出来具合をあれこれ考えるのは、すでに形になっている仕事を持続させることに及ばず。
また、すでに済んでしまった過失を後悔するのは、将来に起こりうる失敗を予防するのには及ばない、という意味です。

 持続することは難しいし、先に向かって努力するよりも過ぎたことを悔やんでいたほうが楽なのです。
十人十色と申しますが、考え方や取り組み方は人それぞれ。努力する人しない人、言い訳ばかりで向上しない人、経験から学習して進歩を続ける人、現実を直視し真正面から真摯に問題に取り組む人もいれば、主題をすり替えて誤魔化す人もいます。

 また、「なにをしているのか?」との問いかけで始まるこんな話もあります。

  なにをしているのか?

  一人の石工は不機嫌な表情で「いまいましい石を切っている」とぼやいた。
  別の石工は満足そうな表情で「大聖堂を建てる仕事をしているんだよ」と誇らしげに答えた。

 自分の置かれた状況をどのように捉え、どのように取り組むかは人それぞれ。
ライザ・ミネリやフランク・シナトラが歌い大ヒットした「ニューヨーク・ニューヨーク」のサビの歌詞と同じです。
 
 IT's up to you, ――すべては自分次第。