「火の用心」
風速が1メートル/秒増すごとに体感気温は約1度ずつ低くなるといわれます。
今日のように風が穏やかであればそれだけ冷たさも和らぎます。

 今はちょうど季節の変わり目で強い風が吹きやすい時期です。同時に空気も乾燥気味で、初めは小さな火でも乾燥した空気と強い風に煽られ瞬く間に大火事となりますので注意が必要ですね。
「火事と喧嘩は江戸の華」と言われた江戸の大火もこの時期から春先にかけて発生しています。

 ところで、江戸時代の頃、江戸市中に多いものとして「火事、喧嘩、伊勢屋、稲荷に犬の糞」と言われるほど、稲荷神を祀る社は無数にありました。
稲荷神は五穀豊穣、商売繁盛、福徳開運の神様で、その傍には稲荷神に仕える狐が控えています。

 関東のお稲荷さんでは、東京北区にある王子稲荷が関八州(本来は東国三十三国)稲荷の頭領として知られています。
そこの狐は昔から人を化かすことで有名で、落語の「王子の狐」で知る人も多い神社です。
王子稲荷の近くにあり、「王子の狐」にも登場する扇屋は300年以上の歴史がある老舗割烹で、そこの名物の卵焼きは要予約の逸品です。

 昨日2月の午の日(二の午)は稲荷神社の祭礼の日で、王子稲荷では「凧市」が催されてます。
凧は「風を切る」として、幾度も大火にみまわれた江戸庶民が火事除けの縁起を担いだもので、凧市で売られている「火防(ひぶせ)の凧」は、火の難を逃れ、息災繁盛につながる御守りとして今も大変な人気となってるそうです。