「年越し蕎麦」
今年もあと一日・・・・と、暮れが押し詰まった日のことを「数え日」と言うそうですが、
去る年を惜しむ思いと来る年への期待が交差します。

 年の瀬の「瀬」は、川の浅く流れが急なところを指しますが、この時期は急き立てられるように時間が経過します。
昔の人は、急流を船で越すように、年の暮れを乗り越えるという感覚でした。
宝井其角と赤穂浪士の大高源吾が交わした次のような歌があります。

 「年の瀬や 川の流れと 人の身は あした待たるる その宝船」

 ところで、大晦日に食べるソバについて、晦日蕎麦、年越し蕎麦、つごもり蕎麦など言い方は様々ですが、由来にもいくつかあるようです。
一つは、その昔、あるお寺が、貧しくて年の越せない人々に蕎麦がき(蕎麦粉を熱湯でこねたもの)をふるまったところ、翌年から皆に運が向いてきたことから、“運そば”として広まったというもの。
又、もともと商家では、つごもり、つまり月末に蕎麦を食べる習慣があり、それが元になったとする説等・・・・。
更に 金細工の職人が金粉を集めるのに、練った蕎麦粉を使っていたことから、蕎麦は金を集める縁起物とされ、その形状から細く長く達者に暮らせるように願ったとの話や、蕎麦は切れやすいことから、その年の苦労を切り捨て翌年に持ち越さないよう願ったという話もあります。

 縁起の良さもさることながら、この時期は、忘年会等で疲れ気味の胃腸を整え新陳代謝を高める効用も見逃せません。

 痩せ地でも実を結ぶ蕎麦は、雨や風にも強い植物です。
風に寝かされても、雨に打たれても翌日には起き直ります。
このことから捲土重来(けんどちょうらい)を期す食べ物とも言われています。

今年も他所からの受け売り話しのご紹介で終わりました。
皆様、良いお年をお迎え下さい。