「五月病」
 近頃は「五月病」という言葉をあまり聞かなくなりました。
「五月病」とは、新入生や新入社員が入学・入社して1カ月が経つ頃、新しい環境や職場に適応できずにやる気をなくしてしまう状態を言いますが、最近は6月頃に症状が出ることが多いため「六月病」とも言われるようです。

 この症状は医学的には「適応障害」と診断されることが多く、最近は中高年層に増えていると言います。
頑張り続けてきた結果、蓄積されていた心身の疲れがもとで、やる気がでない、疲れがとれない、眠れない、何をやるにも億劫になってしまうのが主な病状です。

 このような自覚症状がある場合は、自分を責めず、塞がず、焦らず、悲観せず、新しい環境や人間関係に真摯に向き合ってきた自分を誉めてあげるべきです。
また、そういった場合の周りの対処法は、意見や批判をするのは禁物、解釈も説明もアドバイスも必要なく、例えば「大変だね」「がんばったね」だけでもよく、素のまま受け入れてあげるのが良いそうです。

 ところで、夢と現実とが入り混じった男の話「ドン・キホーテ」は、松本幸四郎の当たり役「ラ・マンチャの男」でも有名です。
騎士道本を読み過ぎて妄想にとらわれ、不正はびこる世の中の苦しみ悩みをなくすため、古ぼけた甲胄に身を固め、従士サンチョ・パンサとやせ馬ロシナンテとともに旅に出ます。
読んだことがない方でも、ドン・キホーテやサンチョ・パンサ、ロシナンテなどの名前は聞いたことがあるかと思います。

 この物語の悲喜劇性は信じた夢や信念が妄想に過ぎないというところにありますが、実際にはボケとツッコミが織りなすドタバタ喜劇そのものです。
その上、あくまでもマイペースを貫く主人公に共感したり、夢を追い続け信念に生きる不屈の精神に共鳴したり、または「こういうのもありかな」と思わせる部分が多々あります。

 以前、ノルウェーのノーベル・インスティテュートが世界各国の著名作家らを対象に行った調査では、17世紀のスペインの作家セルバンテスが著した「ドン・キホーテ」が世界最高の文学作品に選ばれたそうです。
この作品は候補に挙げられた100点のうち、シェークスピアやホメロスやトルストイらの作品を抑え、圧倒的得票数で首位となっています。

 今ひとつやる気が出ない・・そんな時はあえて肩の力を抜いて、こんな本を読んでみるのもいいかもしれませんね。