遠花火
午後4時頃、主人は、「今夜は遅くなる!」その一言だけで家を出て
「何処に行くの?」聞いても教えず、夕食も誰かと共にしている。

次女が準夜勤で留守の為、外の人と会うのに丁度いい。
私が、一緒に外食しようと携帯に掛けても電源が切ってある。

又、悪い癖が始まったというより、最初からこういう生活だった。
他所から電話連絡がきても、私には、居場所も判らないのだから

返事のしようが無く、「留守にしています!」この言葉以外に何も語れない。
近くの町で花火大会をしているのか、

空を突き破るような花火の音がしている。外に出てみれば割と遠くの
山と山の間に、花火が夜空を明るく染めている。

様々な形をしては消える花火を見て、綺麗だわ!と西の空を見ていた。
そして、川沿いを歩き、せせらぎの音を聞きながら涼感に慕っていた。

でこぼこの石に当たり、水草に当たり、せせらぎとなり海に向かう。
せせらぎは、まるで人生のようだと思う。

遠花火は、まだ続いているけれど、一人で居ても仕方がないので家に戻った。
暗い部屋に電灯を付け、素麺を食した後、趣味に没頭する。