採菓汲水
 知人からちょいと困った頼まれごとをされ、断るためにどう説明したら良いものかと戸惑ってしまいました。
 具体的にいうのも何だか厭な感じなので、自分がバイトで扱っている商品を菓子に譬えて話します。あんまり具体的に書くと後で自分で読み返した時に胃が痛くなりそうだから。

 自分がやっているのは果物を菓子に加工して細々と売っている小さい小さい一人しか従業員のいない菓子屋なのです。
 自分のしていることはパティシエだとかいう片仮名の名前で呼ばれることもありますが、基本的には自分を職人だとは思っていません。
 本業の合間に菓子作りをさせていただいているだけです。
 好きでやっている菓子製作なので特定の果物を使った菓子しか作っておりませんし、決まった標準的な菓子しか作りませんが、需要が生じるおかげで幾許かのお代を戴いて作らせてもらってます。

 ところで、困っていたことなんですが、知人は無料で菓子を作ってくれと言うのです。
 知人は友人から無料で菓子を作ってもらったと聞いて来たようなのです。
 でも、友人の時の場合は、友人が収穫した果物を菓子に使って良いと提供してもらった御礼に、菓子を作ったのです。

 菓子作りは自分の本業ではありません。
 現在一日の時間の大半を本業に取られています。
 本業以外の残りの時間でお客さんから頼まれたお菓子を作って納品しています。一日の時間は限られていますので、依頼は僕が余裕を持ってこなせる数に抑えて引き受けてます。
 そんな現状で、いくら菓子作りが好きだとはいえ、お客さんの依頼をほっぽっといて他の菓子を無償で作る余裕はありません。
 今後、時間や材料費の余裕が生まれれば出来るかも知れませんが現状では無理です。

 と、伝えたのだけど、どうも知人にはこちらの言いたい事が伝わっていなくて話が拗れてしまいました。
 知人の依頼を断っているうちに、知人が加勢を頼んだ知人の親族までやり取りに参加してきてしまいました。

 一番分かってもらいたいのは、無償では作れないって事じゃないんだけどなぁ。

編集 佳馨 : 記事の文章の表現を一部書き換えました。パティシエはものの譬えで、勿論実際はパティシエでも何でもありません。