黄纐纈秋
  黄纐纈林寒有葉 碧瑠璃水浄無風 白

 上記は、平安時代中期の家人 藤原公任撰の詩歌集『和漢朗詠集』巻上 秋 紅葉の最初に載せてある白居易の漢詩です。
 これは中唐の詩人 白居易の『白氏文集』巻五十四「泛太湖書事寄微之」から適句したものです。
 白詩の原文は次のようになります。

  煙渚雲帆處處通 飄然舟似入虚空
  玉盃淺酌巡初匝 金管徐吹曲未終
  黄夾纈林寒有葉 碧琉璃水淨無風
  避旗飛鷺翩翻白 驚鼓跳魚撥剌紅
  澗雪壓多松偃蹇 巖泉滴久石玲瓏
  書爲故事留湖上 吟作新詩寄浙東
  軍府威容從道盛 江山氣色定知同
  報君一事君應羨 五宿澄波皓月中

 比べると、『和漢朗詠集』では「纐纈」となっている部分が、『白氏文集』では「夾纈」となっています。
 詩を適句する上で字を変えたということは、その字または語句が同じものであると考えられていた可能性があります。
 あれ?でも、「夾纈」と「纐纈」って違うものでは?以前TVで染物の歴史視た時にそんなこと言ってましたよ?

 まぁ、上記の事はどうでもいいんだけど。
 今の京都の紅葉は黄纐纈というよりは黄夾纈みたいで、色の染まり方にむらがあるところが実に美しいですよ。

追記(2008年3月20日):
 このネタを学校に出すレポートに其の侭貼り付けて使うのは止めてくだされ。
 このネタは加筆して雑誌掲載済です。