We waste our lives destroying, hating,
 実家のある部屋で、十八歳の頃に僕が購入した本を見付けました。
 十八歳で生まれて初めて男に振られた、著者の実体験が書かれたその本には、過去の著者が毎日泣き続けた所為で目蓋は腫れ上がって目が開かなくなり髪も枝毛ばかりになった様子が記されていた筈です。
 読み返してないから内容は僕の記憶と違うかも知れないけど。

 十八歳の時の僕は確かこの本の一部だけを読んで、その時の自分と類似した過程を歩んだ過去の著者を文中に発見して、本の購入に至ったのでした。
 その時の僕は毎日毎日、何かがある度に目から液体を流し、顔や髪の手入れも全くせず、恐ろしく老けてました。
 あの時の自分の姿は当時撮った受験用証明写真として今でも実家の何処かに眠っていますが、見付ける度に隠匿して人の目の触れない場所に仕舞いこんでます。
 十八歳だとは思えないぐらいにまで肌と髪をボロボロにした己の過去は今の僕にも直視出来ない酷いものですが、そのボロボロの過去を捨てて無かったもののように扱う事は如何してもしたくないのです。

 ずっと前、十年以上前の僕を、「貴方のような何の苦労もした事のない子供にあれこれ言われたくない。」と怒鳴りつけた誰かさんをふと思い出しました。
 あれから十年経って、僕も多少の金と人間関係の苦労はした気がするのだけど…まだまだなのだろうなぁ。