褒め言葉
 今の大学に入ってから、身の回りの女の子がちょっとでも綺麗に見える度に「綺麗だね」とか「可愛いね」や「素敵ですね」というようにしています。
 「綺麗。綺麗。と、云い続けるとどんな物でもそれなりに美しく育つの。」と以前母親が云っていたのを覚えていたので。
 其の所為か、最近身の回りのお嬢さんたちが更に綺麗になってきました。以前は化粧も装飾品のつけ方もどこかけば過ぎたり、ぎこちなかったりしていたのに、今は薄化粧でも美しく纏まってます。
 彼女たちが綺麗になったのはきっと僕の言葉の所為というよりは、単に年齢に合った化粧の仕方や場に相応しい装いに慣れただけなんだろうけど。それにしても綺麗。
 其の綺麗なお嬢さん達に「綺麗」と素直に云うと顔を綻ばし更に綺麗な笑顔に変わるのは、きっと自分の美しさを多少なりとも自覚してるからなのでしょうなぁ。

 ところで、そろそろ誰か僕にも「綺麗」と云ってくれないものだろうか。
 僕は綺麗じゃないって事は百も承知だけど。誰にでも美しく見える瞬間は必ずあるのだから、僕にも一億万分の一秒くらい綺麗に見える瞬間があるかも知れない。其の一瞬を捉えて誰か褒めてくれないかな。褒め続ければ、万に一つは綺麗な人に変身するかも知れませんよ。

 ああ、でも、僕は僕の事を綺麗だとか美人だとか、他人に世辞を言われる度に「こいつは絶対嘘を吐いている。何の魂胆があってそんな事をいうんだ。」と相手の真意を疑ってしまうのでした。
 実際、僕に世辞を云う人は何か魂胆がある人が多いのだけど、こうも疑ってかかっていたら褒められても効果はあるまい。