穿山越嶺
 今日高校生に間違われました。高校卒業したばかりの集団の中に居た所為ですけども。
 違うと答えたら「じゃあ、今年二十歳になったばかり?」と更に同じ人に訊かれました。
 「もうちょい上。」と素直に答えたら吃驚した顔されましたよ。

 嗚呼、良かった。僕まだ高校生でもいけるかも。
 …嘘です。
 偶々老けた若者の中に紛れてた所為で子供っぽい格好をしてた僕が若く見られただけ。
 十八歳の娘さん達は肌や髪がまだ綺麗なんだからあんなに厚化粧したり髪が痛むまで染めたりしなくてもいいのになぁ、と思いながらその集団に紛れ込んでました。
 毎朝しっかり化粧をして外出してるお嬢さん達を見ると心から感心します。高校生の頃僕も化粧は一応してましたけど、面倒臭くて時間のある時しかまともにしませんでしたよ。毎日なんて無理。

 まだ高校生でもいけるかなぁ、なんて不遜な事考えながら帰宅したら途中で警察官にばかりジロジロ見られました。
 近隣で強盗殺人が起きた為、その調査に来た警官が僕の実家付近にもわらわらと歩き回ってたのです。
 犯行時刻の約二十分前に犯行場所の脇を車で走り回ってたので、僕の視界の何処かに犯人が映っていたかも知れません。でも、僕は車の運転に必死で車の前に見えるものしか覚えてませんが。
 帰り道に犯行現場近辺の神社を見に行く心算だったのに、何度も警察官にジロジロ見られ声まで掛けられそうになったので諦めました。
 そんなに僕は不審かぃ。