洋の東西を統合する新たな文明の創造 竹村牧男著『鈴木大拙 願行に生きる 上』
洋の東西を統合する新たな文明の創造 竹村牧男著『鈴木大拙 願行に生きる 上』
 
 サブタイトルに「その生涯と西田幾多郎との交流」とある。
 鈴木大拙&西田幾多郎。ともに海外ではすこぶる著名な、本邦を代表する哲学者。
 同じく現在の金沢市で生まれ、その生年も1870年と同年。17歳の時、旧制金沢中学校で、出会うのだそうだ。

 冒頭、著者の竹村牧夫氏は、「日本文化に与えた禅の影響を海外に紹介」と鈴木を紹介。
 続けて二人の業績を、次のように整理。すこぶる興味深い。
 「西洋の二元対立的な世界観に対して、東洋の主客分裂以前から出発する世界観」。
 「(西洋の)父性的な文化に対する(東洋の)母性的な文化の特質を指摘」。
 「(鈴木は)東西を統合する新たな文明の創造を訴えた」=()の注はいずれも筆者。

 R2.=nhkラジオ第二放送で毎月第二日曜日午前に放送。本書はそのテキスト。
 2022年度放送の『唯識』に対比し、理解しやすい内容となっている。そうではないか。