書道師範。マチなかで著名な芸術家 桜木紫乃著『無垢の領域』230128
 書道師範。マチなかで著名な芸術家に添うた女性は高等学校の養護教諭。二人とも芸や仕事を通じた人脈を背景にもつ二人。
 館長には寝たきりの母が同居し、妻の医療知見が介護のうえで役割を果たす。
 男には束縛されない<自由時間>があり、職場に身をおいて、監視のなかにある褄。そうした二人の間柄。
 ここには、1)秋津書道塾の生徒

 もう一つの家庭が配置されている。図書館長を務める一人で、この家の家族はなかなか複合的。
 2)図書館長の祖母が居る。」
 3)館長の妹で純香、
 4)(血のつながりを読み解くとして)書道教師の聖香、
 5)純香の母=館長の母でもあるはずながら。
 6)公恵=「館長の義理の妹」は養護教諭の妹か。
 さらに異色、6)里奈は館長の札幌在住時代の恋人
 7)館長のもとで働く塚本(図書館スタッフ)


 妻が勤める高校の生徒も登場。
 8)君島奈沙&澤井嘉史

 ここまで読みといてきた作品中、込み入った人間関係に彩られた作品。」
 紹介してくださった、ふみひろさんは、実に丹念に作品を図解してくださっている。
 ストーリーは、才能に惚れ込んだ書道師範が妹を書道教室の助手に雇ったことが契機となって、図書館長と養護教諭の「関係が深まり……無垢な存在が男と女の欲望と嫉妬を炙り出す」と、展開するようだ。

 登場する人脈からして、そこには実に<濃厚な枠組み>が構築される。表層でとらえる人間関係を、深層の極みで解釈。
 「旧釧路図書館」「幣舞橋」「浦見界わい?」「釧路西高」「阿寒湖旅館」「札幌の館長実家」「札幌パークホテル」。
 広範に展開する作品の舞台で、文脈をなぞってみたい。そう思うのであるが。

書道師範。マチなかで著名な芸術家 桜木紫乃著『無垢の領域』230128