作品に読む「人」「風」「土」 桜木紫乃著『無垢の領域』230128
作品に読む「人」「風」「土」 桜木紫乃著『無垢の領域』230128

「かつて暗唱した恋歌を半紙に書くように、淀みない筆致でさらりと書き上げる」
「この小説のキーワードは『画竜点晴』である」
「ストリーテリングと優れた心理描写はここでも才能あふれんばかり」。

「読後感」を残した、ふみひろさん。「さらに、もう一言」で、川本三郎氏の著作三点を紹介してくださった。
「小説や映画の舞台をあるくなら」と『我もまた渚を枕』(2004年?)、『東京暮らし』(2008年)、『旅先でビール』(2005年)の紹介があった。
氏から、桜木氏に対する支援の鶴声があったそうで、作品理解のキーワードということであった。そう受け止めさせてもらったのだが。

思うに、「風土」。そうは申すも「風」と「土」を、分割して考えておきたい。
風=外からもちこまれる情報、視点、土=地付きの情報、視角。かく申したのは水本哲郎著『地元学をはじめよう』。
近代文学における「北方性」なる独自の領域を意識しようとするとき、「人」「風」「土」を意識してみたい。

登場する「人」、作品の舞台としての「土」、結露に象徴された「風」の組み合わせの特異性。
先進工業国、開発途上国を問わず、自然は開発がすすみ、環境が破壊され、気候変動や異常気象に当面している。
そこには人、風、土。それぞれに独立しているのではなく、相互に密接につながっている。そう思うのであるが。

作品に読む「人」「風」「土」 桜木紫乃著『無垢の領域』230128