男が書いてきた釧路川、女流作家の作品舞台に 標茶町塘路の「二股」230128
男が書いてきた釧路川、女流作家の作品舞台に 標茶町塘路の「二股」230128

 28日午後に開いた「ぶぶる街歩き4th」読書会。智恵子さんが取り上げた。
 標茶町塘路の東に位置する「二股 ふたまた」が舞台になっている点が話題になって。
 「二股」は釧路川と阿歴内川の合流点。釧路川中流域の左岸に位置する。

 桜木 紫乃 (著)『北海道警釧路方面本部刑事第一課・松崎比呂 凍原』。
 2012年6月6日に小学館文庫で発行された作品だ。
 「現場は阿歴内川と釧路輪の合流地点だ」「今、鑑識が向かっている」。

 集まった愛読者は、すぐに「阿歴内川と釧路輪の合流地点」と聴いて、「二股」を連想した。
 実はこの二股、ちょっとした名所、見どころなのだ。1887年を前後して、釧路川を舟で<さかのぼる>輸送路となり、釧路川を上る8ポイントの一つなのだ。
 最近では2020年8月に乗用車でこの地点に筆者は乗り付けた。幸い、普通車ならそのままたどりつける<取付道路>の状態にあった。

 「おそらくウチにくるでしょう、ちょっと見学に行ってみますか」。
 桜木作品では「遺体発見場所」で設定され、確かに揚々と流れる大河の水脈と重ねて連想するに、ミステリーなポイントではある。

 この地点。1956年12月発刊された原田康子著『挽歌』にも登場するポイントなのだ。
 当時は標茶町塘路と鶴居村久著呂間の簡易軌道が釧路川を横断し、その鉄橋が合流点下流部にあった。
 若き日に原田作品に魅了されたと語られることのある作者にとって、「二股」のポイントはある意味、<明確なインパクト>を与えたのか。
 そうした想像力を膨らませてくれる<話題の地>でもあるのだ。

 釧路川は流域の原野に移住民をいざなう動脈であった。
 もちろん、文学作品の舞台にも取り上げられ、中戸川吉二や更級源蔵が担ってきた。
 そこに女性作家の視線が注ぎこまれる。東方からの光が、時代に活力をもたらしてくれるのかも。