地元経済人が支える「常連客に配布」 58年で700号迎えた『月刊おたる』20221105
 地元経済人が支える「常連客に配布」 58年で700号迎えた『月刊おたる』20221105

 2022年9月26日 『月刊おたる』は通巻700号を発酵した。
 創刊は1964年。「陰るまちに新しい風」の思い入れで、米谷裕司という人が担当した。
 米谷には「地元経済界の重鎮たちが、詩人として注目を集めていた米谷さんに声をかけた」。特集を組んだ『北海道新聞』朝刊(2022年11月5日配布)は伝えている。

 通巻700号はネットがいち早く伝えた。道内配布紙も11月5日土曜日の朝刊で、17&18面を当てて特集した。
 1964年から数えて58年。その半世紀にはさまざまな転機を重ねている。
 1)発酵部数減、創刊者の死。
 2)地域経済の推移により当初は9000部、90年代に1万部超も、2010年には3000弱。
 3)創刊者、米谷裕司氏の死をうけ、山本一博氏が継承し、現在は藤森五月氏が引き継ぐ。

 58年、通巻700号、発行部数3000部弱
 その継承には<偶然ともいえる地域経済界あげての尊い努力>があった。
 4)廃刊の危機には地元経済人の奮起
 5)「小樽愛」「こころの友」「小樽の悪口は書かない」
 6)1部330円。30部購入すると1万円弱。書店で売らずに経営者がまとめて購入し、常連客に配布。

 世情、継続のモーメントに編集者の個性と独創性を指摘する声が少なくない。
 しかし、それのみでは持続しがたいことを道内には最盛期には「80年代20誌以上あったものが廃刊、休刊相次ぐ」と報じている。
 廃刊の要因。景気低迷、インターネットの普及の影響。などなどと指摘する。
 
 7)経済人のもつ、あるいは小樽特有と言ってよいのかも知れない<顕著な文化に対する理解と文化活動への投資>。
 8)定期購読者300人ながら、その7割が道外在住の小樽出身者
 9)「(『月刊あたる』の)文学性 ネットに負けない魅力」と評価する、地域の文化風土。

 現代の担当者はコメントする。
 「月刊おたるは、小樽の財産。(巻頭の言葉にある)読書の『こころの友』になれるように」。
 その言葉は尊い。また、背景で支える執筆者、広告主、定期購読者、常連客への感謝をこめ、まとめ買いして手渡す経済人の存在は、実に<重く>かつ<貴重>な存在ではないか。注目したい。