思想政治下で育った経済的安定=55年体制の考察 大嶽秀夫著『高度成長期の政治学』991209。
 升味準之介著「利益政治による自民党支配」で、「五五年体制」体制が成立した背景は、
 1)農業団体の支持政党が産業上の変化のもと、利益誘導型政治で安定政治を勝ち取る。
 2)官庁を媒介とした利権配分などにより地盤を培養。
 3)イデオロギー対立の背後で着々とすすんだ利益政治の成長が顕在化するなかで、「五五年体制」は達成された。



 「一九五五年の(政治)体制」、またの名称を「五五年体制」としたのは、升味準之介とする。『思想』 1964年6月号に掲載「一九五五年の政治体制」から「流布した」、升味による「造語」である、と。

 然らば、「五五年体制」とはなんであったか。
 4)講和条約、占領政策、太平洋戦争など事件と人間の所産が現在を構成するも、それらを呑み込む「巨大な政治ダム」たるの器。
 5)保守党による安定的な一大支配体制。
 6)鳩山・岸のイデオロギーを軸とする政治の影で、すでに始まっていた高度成長、経済的安定の反映

 1955―68年において産業化、都市化したにもかかわらず、社会党支持率は減少するも、自民党にハッキリした増減なしの意味。それは利益誘導で、地盤培養。
 (大嶽秀夫著『高度成長期の政治学』 東京大学出版会 1999年)所収。

 思想政治下で育った経済的安定=55年体制の考察 大嶽秀夫著『高度成長期の政治学』991209。