小藩の存立・展開 増川宏一著『伊予小松藩会所日記』
 四州・伊予国.
 松山の近隣に石高一万石の小大名が配置された.
 戦国が統一されなぜにの要因はさておいて、ともかくも一城が構成される.
 伊予小松藩.その小国大名家に残された家老の公務記録.そこを読み解き、地域の課題と地域の要請を提示する.
 小藩の存立・展開 増川宏一著『伊予小松藩会所日記』.


 大名家滞納、
 象徴的とも思えることが、大名家のかかえる天明期以来の返済期滞納が、半世紀後に再燃している.

 大名家財政の破綻を、一に参勤交代の出費、二に江戸藩邸の維持.構造的なモノととらえている.

 財政改革. 
 そのうえで、家臣初任給の切り下げ、俸禄の削減、特産品開発と列挙するも、財政再建は至難.これはある意味、地域の課題.

 幕末、京都守護で小藩なりに徒、足軽の派遣、士族身分の出仕.こちらは時代の要請.「分権」とは申しながら、構造的出費に立ち向かう藩体制の内的対応が、明示される.会所日記 (集英社新書 2001年) .