藤井譲治編『近世の日本 支配のしくみ』
 藤井譲治編『近世の日本 支配のしくみ』。幕藩体制前期の支配原理を示す。

 一に組織原理、二に法体系、三に藩制原理と支配、四に町方支配、五に村落支配、六に武士の生活、七に武士の思想、つまり武士道。

 法体系は「誓紙と無記名法度の間」に、将軍家と諸侯の臣下過程の推移を読み解く。
 藩制原理と支配は岡山・池田家の家臣団形成を通じて詳述される。

 武士の生活。多くは江戸後期の著述にまかされてきた、とする。 その点を本書では、紀伊徳川家で家老職にあった三浦為時筆『御用留帳』『留帳』のと、その侍医職にあった石橋生庵筆『家乗(いえじょう)』から、記載。

 それぞれ、このシリーズの特徴ともいうべき、<総論ではなく各論を通じて、時代の一端を説明>を体現していると、みる。(中央公論社 1991年)